
注記
本ドキュメントは、新規職員向けに行われたオリエンテーションの一部を文字起こししたものです。
こちらは第二回の内容となっており、第一回の内容はこちらをご覧ください。
本文
新規職員:
お話を聞いた限りでは、確かにここ「非重要アノマリー保管室」に保管されているアノマリーは、どれも危険性が低く、また特に有用というわけでもなさそうですね。
████:
はい。そうかんがえていただいて、さしつかえないです。
いまのところは。
新規職員:
……「いまのところは」ですか?
████:
アノマリーを完全に理解することはできませんので。
新規職員:
……“機関”は、アノマリーを理解し制御するために活動しているのでは?
████:
はい。だからこそ、おぼえておいてください。
アノマリーは、ひとが知りうる科学を超越した存在です。
完全に理解することはできません。
完璧に収容することはできません。
そう慢心したとき、ほころびがうまれるのです。
新規職員:
つまり、いつどんな“異常”が起こっても良いように備えろと?
████:
そのとおりです。
ご理解いただいたところで、つぎのアノマリーをご紹介しましょう。
(以後の内容は添付のレポートを参照)
O-1875:正常な壊れた時計

概要
【O-1875】は、製造者不明の懐中時計です。
【O-1875】の表示時刻は、不連続的に大幅なずれが発生します。文字盤には年月日を表示する機能もあり、表示日時は20██年10月5日時点で約3,000日ほど進んでいることが記録されています。
【O-1875】の動力はねじ巻き式ですが、ねじを巻かなくても動作し続けます。
セキュリティレベル | Lv.1(非重要) |
|---|---|
理由 | 危険性も有用性もなく、実世界への影響力が皆無であるため。 |
実験記録
実験記録1:
20██年10月4日正午に、同時刻へ表示を合わせた。
結果:20██年10月5日正午時点で、約3,000日進んだ日時に変わっていることを確認。
実験記録2:
実験記録1に記録された実験の際、文字盤をハイスピードカメラで撮影した。
結果:20██年10月5日午前11時25分あたりで、時刻のズレが発生。ズレは一瞬の内に発生しており、カメラのfpsから、本現象は少なくとも10万分の1秒以下の間で発生していることがわかった。
実験記録3:
【O-1875】の内部構造についての非破壊検査を実施。
結果:一般的なねじ巻き式懐中時計の構造と差異は無く、故障も発見されなかった。
補遺
補遺1:
20██年10月5日、██博士が原因不明の記憶喪失となったことが報告されています。本実験との関連性は現在調査中です。
補遺2:
過去の記録によると、【O-1875】に時刻のずれが発生したのとほぼ同時刻に、大規模な現実改変が記録されたことがあります。当該現象と【O-1875】との因果関係は、現時点では認められていません。
